(冒頭発言)
それでは、予算についてご報告申し上げます。
昨日までのことは既にご承知だと思いますが、残された中でどうしても、最重要であるということで2点、先ほど財務大臣、それから与党の政策責任者の方々いらっしゃいましたけれども、1点目は中小企業支援対策、法律が3本あって、若干重複もあるということで、それを統合してわかりやすくといいましょうか、効率的な法律にすると同時に、内容も充実をするということで、中小企業を中心にした事業体の連携した異業種間を含めた連携によるプラス効果を支援するための補助金について、トータル26億円、一部認められておりましたけれども、ぜひ要求どおりお認めいただきたいということで26億円増になりまして、これを認めていただいたわけでございます。
2点目が物理探査船でございまして、今まで、内示から昨日の復活折衝もゼロでございましたが、財務大臣、それから両政調会長のもとで私なりのご説明を申し上げまして、その結果、17年度で約101億円、国庫債務負担行為として、つまり全体の建造費等にかかわる費用として、247億円という満額を最終的にお認めいただきました。これは途中からの急遽の要望でございましたし、それにもかかわらず、ひとえに関係各方面の力添えをいただきまして、認めていただくことができましたので、厳しい財政状況の中でございますけれども、全体として大事なところを全部認めていただきましたので、これを厳粛に受けとめて、緊張感を持ってこの予算の執行に当たっていきたいというふうに考えております。
以上です。
(質疑応答)
【海洋調査船】
Q: 満額認めていただいたということですが、そうすると探査船については、新年度は101億円ということですけれども、新年度のうちに建造にかかわる作業をどの程度まで進めていくのですか。
A: 私としては、既にやれることは明日からでもやりたい、つまり16年度中に例えば、概略的な仕様等、やれる作業はどんどんやっていって、ゼロから船をつくって、つくる以上はきちっとした能力を持ったものをつくっていきたいわけですので、複数年かかるらしいんですけれども、できるだけ早く任務につかせて、そして日本の水域の中に存在しているであろう資源をきちっと探査をして、それによって資源があると、そしてそれを採掘することができるということであれば、それによって国民に対する大変な責任を果たすことができるといいましょうか、国民の利益になるというふうに思っております。
ちなみに、言うまでもなくこれは北海道から九州、沖縄に至るまで、あるいはまた太平洋の先の沖ノ鳥島、南鳥島、大東島に至るまでの広い水域をカバーする船であるということで、大いに活動する範囲が大きい。一日も早くフル回転できるように、期待をしております。
Q: 完成してから後の話となると先になりますけれども、年間のメンテナンス費用というのも相当かかると思うんですが、これはどのくらいを見通していますか。
A: 試算ですけれども、高いとか安いとかという費用は大事ではありますけれども、次元が違うと思っておりますが、例えばこれは我が省が、エネ庁の試算で、あくまでも試算という前提でお答えいたしますが、現在民間調査船を用船しているわけですが、これは1年間に93億円かかっておりまして、10年間やると930億円ということになります。同じところを10年間この今回日本がこれからつくっていく船を投入した場合には、探査船の建造に先ほど申し上げた247億円、それから10年分の調査費、10年分で230億円、それから10年分の維持費が340億円ということになりますので、合計817億円ということで、これはあくまでもこの現在の東シナ海を仮にやるという場合に、用船した場合とこの船が10年間既にここでつくってやっていくという場合で、あくまでもこれは仮定でありますけれども、930億円に対して817億円で済むということになります。
高いということはもちろん避けなければいけない、ぎりぎりのところでやっているということで、こういうことになりますけれども、これをもって私はどうだといって皆様に申し上げるつもりは毛頭ございませんので、あくまでもこういう試算があるというだけであります。
Q: 必要性について、ご自分で説明されたとおっしゃいましたけれども、どういうことを特に説明されましたか。
A: こういう船を持つ必要があるんですかというのが今までの事務当局のやりとりだったということでありますけれども、やはり前にもこの場で何回か申し上げていると思いますが、日本は四方を海に囲まれた海洋国家でありまして、しかもその排他的経済水域は、広さで言うと世界で6番目というある意味では世界を代表する広い排他的経済水域を持っている国であり、しかもその排他的経済水域の経済性、つまりその根っこになる有用な価値がその中には相当存在しているであろうと思いますので、それを活用しない手はない。そのためには、精密な調査、探査が必要である。それはどこの国でも自分の船を持っておりますし、それは1隻や2隻ではない。お隣の中国、韓国の例をこの前申し上げましたが、アメリカにしてもヨーロッパの国々、例えば今日本で活動している船はノルウェーの船でありますけれども、ノルウェーがわざわざ貸すほどの余裕を持っているということも含めて、各国とも公船、あるいは私有船含めて持っているわけでありますが、残念ながら日本はそういう海洋国家でありながら、今まで1隻もそういう探査船を持っていなかったというのは、ある意味では持つべきであったというふうに思っておりまして、そこで特に最近この海洋資源をめぐって、日本だけではありませんけれども、日本でも大きな国民的な関心事項でもありますので、急遽日本としても持つべきである、日本の船で日本の排他的水域の中の日本の資源を日本の国民のために活用できるような体制づくりをしていくべきであるということで、船を保有しようという判断をしたわけであります。
そして、先ほど公有、私有という話を申し上げましたが、公有、私有、両方持っている国もございますけれども、国家としての意思という意味があります。これは国民に対する意味でも国家が保有している。つまり民間の営利の船ではなくて、国家が国家として国民のために国民の資源を活用するための探査船を持つという意味、それから対外的には、公船であるか私船であるかによって、いろいろな事態が想定されますけれども、そのときの国際法上の扱いも公船と私有船で違ってまいりますので、そのことも含めて、借りてくる、あるいは民間のものを例えば国が借りるとか、日本の船であっても民間が借りるとか、民間にやってもらうとか、そういう場合も想定されたかもしれませんけれども、国家の船が国家の資源を調査するということは、ある意味では当然のことだろうというふうに思っております。途中からの要求ではありましたけれども、先ほど申し上げたように、多くの関係者、とりわけ議院内閣制における与党の力強いご支援をいただいて、そして最後は財務大臣、それから両党の政調会長同席の上で、私から今のようなことを申し上げて、財務大臣からわかりました、了解しますというご返事をいただいたわけであります。
Q: 仮に海底資源がたくさん埋蔵していることが確認されたとしても、それを実際に地上に上げてくるコストとかを考えると、民間の力だけではなかなかコストが合わないのではないかという指摘もありますけれども、その場合にさらに国が何らかの補てんをするとか、そういう可能性というのはあるのでしょうか。
A: この船はあくまでも探査、要するに三次元でどういうものがどういう状態でどういう地形の中に、これ以上は私は素人だからわかりませんけれども、ということをできるだけ正確に把握をするための船でありますから、だからそれを実際に引き上げて、そして加工するなり輸送するなりして、そして実際に使っていくということはもちろんコストの問題とか、あるいは時間の問題とか、いろいろな要素が考えられますから、それはそれで次の段階になります。必要があれば、国として支援をすることも最初から否定するつもりはありませんけれども、あったら全部何が何でも引き上げて、何か材にして、そしてコストを無視して使うんだというものでもないので、あくまでも日本の周りには幾つかのデータがありますけれども、それは50年近く前のエカフェの資料であるとか、あるいはどうもあるらしいとか、あるけれども、どういう状態であるのかということをきちっと把握をしないと、次の段階に進めないという意味で、まずきちっとした調査、診断、探査をやるということが何がどういう段階になろうとも、第1段階として極めて重要であり、それを日本の船で、日本のオペレーションでやっていくということが大事だということがこの問題のスタートにおけるポイントであります。
Q: 一日も早く進められたいということですけれども、供用開始の時期についての見通しはどうでしょうか。
A: 先ほど申し上げたように、本当に16年度中にやれる作業はデスクワーク的なことになるのだろうと思いますけれども、初めて、この認めていただいた101億円、17年度というのは、あくまでも設計から建造も含めた予算でありますが、先程申し上げた全体として247億円の国庫債務負担行為も認めていただいたというのは、この船は1隻稼働するまでに247億円かかりますということでありますから、できるだけ早くということで当然督励をするわけでありますが、ただこれは日本にとっては初めてのことでありますし、技術の粋を生かし、また要員の訓練とか、いろいろなことも含めると、遅くとも平成20年度、つまり建造に着手して17、18、19年度とかかるので、19年度中にも任務につければいいなとは思いますけれども、遅くとも20年度には任務について、就航して任務につくというふうに、そういうスケジュールで今考えております。
Q: 細かいですけれども、事務方に聞く話かもしれませんが、債務負担行為は17年度から何年までということになるでしょうか。
A: 最大限3年間ということですが、できるだけ急ぐという中での3年間です。
Q: さっきおっしゃったその後の3年というものは、要員訓練までも含めた就航までのではなくて、建造の費用ということですか。
A: 基本的にはそうです。
Q: 101億円はそこに入るような形になっているんですか。
A: そうです。
【北海道じん肺訴訟】
Q: じん肺の関係で今日国が上告をしたようですけれども、これについて考えを聞かせてください。
A: 昨日も大分質問をいただきましたけれども、率直に言って私は和解をしたい。経済産業省の担当には和解をしろというふうに言っていただけに、非常に残念です。特に関係者、あるいはまたご遺族の方々のことを思うと大変残念だと思っておりますし、たまたま今財務省から帰ってきたときに、私よりも年配のご婦人3人が1階のエレベーターの前でお待ちいただいていたそうでありますから、直接お話できたというのは、ある意味では私にとってはよかったというのは、要するに実感ができたという意味でよかったと思っておりますが、改めて関係者の皆さんの直接の声を聞いて、おしかりもいただいたし、自分のできることを最大限これからもいたしますというふうに申し上げましたら、最後まで頑張ってくれというようなお言葉もいただきましたので、自分としてできること、上告したということは大変残念でありますけれども、上告した以上は何といっても私は裁判所がどういうご判断をするかということはわかりませんから申し上げませんけれども、早く判決が出ることをせめても9人の方にとって、長いよりは早く判決が出ることを望んでいらっしゃると思いますから、私に何ができるか、どの程度できるかわかりませんけれども、改めてまたじっくり相談をして、自分ができることは最大限やって、一日も早く決着がつくことを、しかも私は79人について和解を受け入れるというふうに申し上げた立場上は9人の方について、その内容も9人の方について、せめて悪い結果が出ないように、これは裁判所の判断ですから、ちょっと言い過ぎというか、予断が入る話かもしれませんけれども、あえて言えばそういう形で早くいいというか、悪くない結果が出ることを望んでおります。
Q: 大臣、どういうことですか、それは。上告しておいて判決が早く出てほしいとか、ほかの人に有利な判決が出てほしい、全く矛盾していませんか。
A: 全然矛盾してないと思いますし、どういうことでもこういうことでもないので、よくもう一度私が言ったことを理解していただけるものと思っております。
Q: 上告した以上は国が勝つ判決をなるべく早く裁判所に書いてほしいと、それが時間がかからなくて、ということですか。
A: 私が上告したのではないです。
Q: あなたが上告したのではないですか。経済産業大臣は同意したのでしょう。
A: 同意も反対もない、最終的には、だから和解する手続、またこの話になりますよ、皆さん。私は上告をしたいと思ったわけでもない。しかし、政府として和解に応じるということは、全員が和解に応じると、関係省庁が認めないと和解に応じられないわけですから、全員が同意できなかったということです。この中であなた一人が違う考えになると、全部がだめになると、そういう理屈と同じですね。
Q: だから、経済産業大臣が上告に同意しなければ、国は上告できなかったんじゃないですか、そういうことでしょう。
A: 逆ですよ。関係3省庁全部が同意しないと和解に応じられないんです。
Q: でも、全部が同意しないと上告もできないでしょう。論理的にそうなるじゃないですか。
A: 全部が同意しないと、上告できない、違いますよ。3省庁のうちの一つでも和解に同意できなかったら和解ができないんですよ。そうすると、和解ができないという以上は法務省として上告したということです。
Q: 大臣は今下でお会いになったと思いますけれども、あの方々がさっき記者クラブで会見なさって、大臣について、最初は格好いいことを言っていたけれども、後からこういう形で上告するというのは許せない、裏切られた気持ちだというふうにおっしゃっていましたけれども、これについてはいかがですか。
A: 先ほど3人の方に直接お答えをいたしました。そのときは残念ながらあなたはいらっしゃらなかった。
Q: 国民の前でも何て言ったかというのを言ってください。
A: 3人の方々から、あなたのと和解を受けたいということを期待していたのに残念だったというご趣旨のことがあったので、私もそういうふうにしたかったんですけれども、結果的に上告ということになって、私としてもまことに申しわけないと思います。従って今後ということで先ほどのようなことを申し上げたわけであります。
Q: たまたまこちらで同時刻、同時間帯にこの人たちは会見したから、先ほどアポイントなしで大臣にお会いしたいということで会ったようですけれども、今日石炭保安室の日高室長に保安院で彼ら、彼女らがお会いになっていたときに、室長におっしゃっていたのは、これまで通産時代含めて、大臣と一度も18年間、19年間会ってこなかった。つまり2,500万円なり、お金のことの以前に、国と何も意思疎通ができないような、人間と人間同士の意思疎通ができないような状態で、ずっと自分たちは厳しい立場に置かれた当事者でいるという、その気持ちの部分というのが非常にしこりとなって残っている状況が大臣に対する厳しい原告の人たちの見方にも一つつながっている部分などがあるかもしれないと思ったのですが、これから和解をした方、できれば9人も含めてのじん肺の原告に対して、大臣が直接お会いになって、何か機会を持つということはお考えになることはあり得ないでしょうか。
A: 全くないとは言いませんけれども、先程確認をしたら、実質的には経済産業省所管でありますけれども、被告は中川昭一ではないのだそうであります。国にということであります。これは形式といえば形式ですけれども、いずれにしても裁判の最中に原告と被告が、特に私の場合は政治家ですから、政治家でありまた担当大臣である私が裁判の最中に会うということは、どういうことになるんでしょうね、ひょっとしたら裁判そのものに何か私の予想せざる、つまり相手にとってプラスになるのかマイナスになるのかも含めてわからないことが起きるかもしれないということが過去においてあったのかもしれません。しかし、上告した後、先ほど偶然とはいえお会いをした。寒い中を待っていたんですよ。それだけでも大変申しわけないことだったと思いますが、でもお会いをして直接の声を聞かせていただき、そして文書を置いてきたから後でよく読んでくださいというお話をして、最後両手で3人の方と手を握り合って、とにかくこれから全力挙げて頑張りますと、そのときはたしかあなたはいらしたと思うけれども、ああいうことになったということは、先ほど申し上げたように、私にとっては非常によかったなと、直接お会いできたなと、お話できてよかったなと、よかったなというのはちょっと誤解を招くかもしれませんが、今まで苦しかった。だから、何とか一日も早く解決したい、和解をしたいと今でも思っている私としては、お会いしてよかったなと思っております。
そういう意味で、今後どういうふうにするかということについては、今の段階では今も予算が終わったばっかりで、私にとってみればハプニング的にお会いをすることができたわけでありますけれども、今後どういうふうにするかについては、特に9人の方についてどういうふうにするかについては、この場ではちょっと頭の整理がついていないというのが正直なところです。
(以 上)